「100マス計算」、昨年はマスコミを通してずいぶん耳にした言葉です。計算トレーニング法の一つとして、決して珍しいものではありません。
これほどブームになったのは、ある小学校の教育方針が注目されたからでした。
兵庫県の進学塾などない山間の町にある公立小学校の卒業生達が、続々と国公立大学の難関校に合格している実績が明るみに出たのです。
”読み・書き・計算”の基礎の反復学習を徹底する指導、その中に100マス計算が取り入れられていたのでした。
100マス計算は、単純な計算に終始し、どれほどの時間で解けるか、というタイムにより上達が容易に確認できます。
短時間に集中して計算をする、終わったらタイムを確認し、タイムが短縮出来たことに達成感を覚える。
計算という単純作業を短時間で繰り返し行うので、ぼーっとする時間はありません。
以前のタイムよりも少しでもいいタイムを出したい。そう思いながら解いているはずです。
必死で解いて、解き終わったときにベストタイムが出たら、とても嬉しいでしょう。
この反復練習・目標設定・達成感という3つが、100マス計算の大きな柱になっています。
100マス計算と比べて、そろばんはどうでしょうか。
例えば、教室の詳細で触れている、アバカスサーキットという通信大会の問題。
かけざん、わりざん、みとりざん(たしざん・ひきざん)各30問を各5分間で解きます。
満点が出るまでは点数を競い、満点同士はタイムを競います。
どの子も、最高記録を更新しようと必死になります。
解き終わったら、その点数を各自折れ線グラフに記入し、自分の伸びを確認しています。
・四則計算の繰り返し
・点数、又はタイムの目標設定
・達成感
まさに、100マス計算のエッセンスそのままですね。
100マス計算をやりさえすれば学力が向上する、そんな単純なものでないことは述べるまでもありません。
100マス計算の実践の中心となった陰山英雄先生(現・尾道市にて小学校校長)曰く、
”すべての学習のベースとなることで「やればできるんだ、じゃあほかも」という発展性が重要なのだ”
一つのことを通して自信をつける、そこからイモ蔓式に引き出される子供達の無限の可能性・・・。
そろばんにおいてはどうでしょうか。
86×94=
この問題、暗算で解くとなると、大人でも難しいでしょう。
しかし、習い始めて半年の子供達はこれを暗算で解きます。習い始めて2ヶ月半で解ける子もいます。全員そろばん初心者です。
同学年の子が出来ない、いや、大人だって出来ないことが出来るようになる。
「やればできるんだ、じゃあほかも」と思うには十分ではないでしょうか。
954,728×76,438=
このかけざんを、3秒以内で解く人達がいます。
珠算式暗算を極めた一部の人達ですが、彼らはこのレベルの問題20問を1分以内で解き、答えまできっちり書き終えます。
このかけざんの答えは 72,977,498,864 ですが、普通の人はこの答えを書くだけでも3秒かかるのではないでしょうか。
もちろん、そろばんを習っても、ここまで上達するのはごく一部でしょう。
しかし、極めればここまでいけるという可能性を示しています。
86×94= この問題が暗算で解けるなら、8,643×2,564= を暗算で解くのは、練習を積めば無理な話ではありません。
また、珠算式暗算は、右脳を使う計算方法です。そろばん玉を頭にイメージして、その玉を動かすことにより計算をします。
つまり、珠算式暗算の練習はイメージのトレーニングであり、右脳トレーニングにもなっているのです。
そろばん教室のよさ、少しでも分かっていただけると嬉しいです。
(参考資料:珠算人の情報誌 月刊サンライズ 2004年3月号)
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